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「最強の記憶術」
smart.fmのいま セレゴ・ジャパン誕生秘話 smart.fmの未来像
出口  いろいろな意味で、セレゴ・ジャパンはこれからどんどん大きくなっていくと思うのですが、お二人はまだお若いですよね。
Eric  そんなに若くないですよ(笑)
出口  こんなに有望な組織を若い頃からどうやって作り上げたのかについて、関心がありまして。二人が最初に出会ったのはいつ頃ですか。
Eric  1990年の4月か5月だったと思います。
出口  どこで?
Eric  これを言うと恥ずかしいのですけれども、六本木のバーで会いました。ロアビルの真下のガラス張りのバーです。
出口  具体的ですねえ(笑)。
Eric  「ワンダーバー1982」というところでしたね。
出口  それは、紹介されて?それとも偶然二人とも飲んでいる時に出会ったのですか?
Andrew  私はエリックの弟のケネスと大学が一緒でした。ケネスがエリックを僕に紹介してくれました。当時大学4年生でしたね。僕はその頃、海外留学予備校をスタートさせていました。
出口  アンドリューは日本にいつ来たのですか?
Andrew  最初は86年。
出口  それは、大学の関係?
Andrew  留学で半年くらい滞在しました。そして89年にザ・プリンストン・レビュー・オブ・ジャパン(現アゴス・ジャパン)という海外留学の予備校を起ち上げるために、また日本に戻ってきました。
出口  エリックはいつ日本に来たのですか?
Eric  仕事で言うと90年の1月です。といっても、親父の仕事の関係で日本に初めて来たのは、1974年、8歳の時です。それから高校を卒業するまで8年間住んでいました。
出口  英語以上に日本語の環境の中に長いこと居たわけですよね。
Eric  ただ、学校の教育はすべて英語でした。義務教育は受けず、漢字も勉強せずに――もうちょっと勉強すればよかったなあと思っているんですけれど。日本は長かったですね。18歳までは、日本8年、アメリカ6年、インドネシア4年。
出口  当時アンドリューが、渋谷でアメリカのトップクラスの学校に行くための予備校を経営している時に、エリックと出会ったわけですが、それからどういう経緯でセレゴ・ジャパンになったのでしょう。
アンドリューの頭の中に、記憶に関する新しいものを作ろうという思いが、元々あったわけですか?
Andrew  ザ・プリンストン・レビュー・オブ・ジャパンの生徒は、MBA修得等のためにアメリカの大学に行きます。当然、英語の能力が必要になるのですが、うちの予備校では、英語を教えることはなく、試験対策――TOEFLやGMATの対策をしていました。そのため生徒たちの間で、英会話習得のニーズがかなりありました。
そこで英会話学校と組んだ方が良いと思って、いろいろな学校を見たのですが、結局、見た学校には、生徒こそたくさん抱えていたのですが、英語の能力をアップさせるノウハウがないと感じたのです。うちには、本当にスコアアップさせるためのセクションがあったのですが……。
そのため、英語習得のために何か違う方法――教育のアプローチではなく、科学からのアプローチの方が可能性があるのではないかと考えるようになりました。そんな時に、アップルコンピュータに勤めていた人と出会い、現在セレゴが提供している学習方法のアイディアがひらめいたのです。
つまり、うちのプリンストンの生徒に短期間で英語の能力をアップさせるため、それがきっかけでしたね。
出口  そして、コンピュータを使った新しい記憶システムを作っていこうと、セレゴ・ジャパンという会社を作って、いろいろな学者や技術者を集めたわけですよね。それはアンドリューが何歳ぐらいのときですか。
Andrew  2000年に会社がスタートしました。
Eric  そう、2000年の3月に設立。
Andrew  30歳くらいでしたね。
出口  すごいテクノロジーだと思うのですが、それを実際に形にするまでには期間もお金もかかりますよね。しかも、ものになるかどうかは最初はわからないというリスクがある。会社設立の際の資金集めはどのようにされたのですか。
Eric  これがまた、日本とアメリカの違いなんですけれども、アメリカにはリスクキャピタルという投資があるんです。アメリカ人らしいというか、もしかしたらこれは大ヒットするという夢にかける代わりに、全部損してもいいという投資ですね。シリコンバレーという、ベンチャーキャピタルのような組織、そういう投資家たちがいるのです。
そして、本当のプロはファンドを作ったときに、日本のような3億円とか30億円のファンドとかではなく、それこそ3000億円とか、そういう規模で動きますね。よくある話なのですが、2億円以下は面倒臭いからまず投資しない。それ以下だと管理費等に見合わないというメンタリティです。
それこそ、5億円、10億円、30億円くらいの規模で投資するファンドも当時、少なくとも数十社いました。今のこういう不景気で大変な環境の中でも、そういうファンドは十何社かいますね。
向こうの投資環境についてグーグルの話を例に挙げますと、グーグルは創業時に、まず友達のつてでエンジェル投資家と言われるところから約1億円を集めました。次にベンチャーキャピタルに投資を提案したところ、アイデアとユーザー、そしてロジックを見た上で、約28億円を投資してくれたそうです。しかもそれは完全なる投資です。連帯保証付きのローンじゃないので(笑)、潰れればみんなゼロになります。このような投資環境がアメリカにはありましたので、我々もアメリカから資金を集めることにしました。
一方、日本には英語、語学を学ぶニーズがある。語学を勉強する、ものを記憶する、ということに関してバリューをきちんとつけている。
このような理由から、「資金を集めやすいのはアメリカだから、アメリカから資金を持ってこよう。でも、マーケットニーズがあるのは日本だから、日本で実行しましょう」という経営方法を我々は選択したのです。
出口  日本では考えられないですよね。
Eric  これは我々の強さでもあるし、弱さでもあります。極端に言えば、外国人が設立したラーニング・テクノロジー会社なので、日本ではある意味、馬の骨的な存在かもしれません。信用に関するクエスチョンもあるでしょう。いきなり「我々を信用して企業で導入してください」と言っても、聞く耳を持ってくれないと思います。
そこで、コツコツ商品を磨き上げるとともに、実際にユーザーに使っていただくことにより、マーケットでの評判が少しずつでも上がるよう務めてきました。
今となればNTTさんから投資していただいたりと、少しずつ柱を中に入れている状況ですね。時間はかかったのですが、我々もこの仕事は好きだし、夢があってこれをやっていますので、やりがいがあります。
出口  アメリカンドリームを追いかけているんですね。