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u 「最強の記憶術」
smart.fmのいま セレゴ・ジャパン誕生秘話 smart.fmの未来像
第3部:Smart.fmの未来像
大手企業との提携について
出口  お二人と知り合ってから、セレゴ・ジャパンをずっと見てきましたが、ディズニーをはじめとして、いろいろな大手企業との提携話があって、最終的にはNTTとeラーニングについて業務提携をされました。今後、NTTとどういう形で関わっていくかについて、差し支えなければ少し教えてください。
Eric  NTTさんと出会うまでは、例えばディズニーをはじめとして、それこそ東証一部に上場しているいろいろな大手企業と話をさせていただいたんですけれども、大手企業って、やっぱり上から目線でしたね。どうしても独占契約などの要求があれこれ多いんです。なので最終的には全て却下しました。
 ディズニーもそうでした。60ページくらいの分厚い契約案を、それこそ10回くらい交わしてファイナル版を作るところまで行きながら、二人で考えて、「これは平等な立場どころか、下っ端の立場なのでやめよう」と。
 でも、NTTさんは非常にスケールが大きい。eラーニングは教育と技術であるという共通したお互いの認識の上で、彼らは我々が技術で勝負しているというところを尊重してくださっています。我々としても期待に応えなければいけないことが沢山あり、お互いのニーズが合った上で、資本提携を結ばせていただきました。とてもよい形での友好関係だと思います。
 これから何をするかについては、具体的なことはお話出来ませんが、今後のセレゴのビジネスモデルと、NTTさんのダイナミックな事業展開において歩調を合わせて取り組んでいきたいと考えています。
出口   ディズニーは、本当に世界的企業なので、提携話を直前で断るというのは、非常に判断が難しかったでしょうね。
Eric   僕らの夢は、今の学習の現場で抱える問題を科学で解決し、より効率的に、そして効果的に学習できる環境を築くために、このSmart.fmのアルゴリズムを世界中の皆さんに提供することです。具体的に言うと、検索エンジンが登場したことで、情報へのアクセスが容易になったように、教育の場面においても今不可能であることでも、将来は可能になることは沢山あると思います。その一方で、きちんとした教育を受けられるか受けられないかという壁はまだ厚い。Smart.fmならそのハードルを下げることができると思っているのです。
 今まで提携の話があった大手企業と組めば、その夢は間違いなく潰れたでしょう。なので、断るという決断はおのずと出た結論でした。もちろん、提携することにより得られる可能性についても考えました。簡単に出すことの出来る決断ではありませんでしたが、最終決断をした時には理由ははっきりしていました。我々のビジョン、そして今まで投資家に約束してきたことと、方向性が変わり得る提携話だったのです。
 我々の投資家は、1を投資して、1.2が欲しいという訳ではありません。彼らも1を10にしたり100にする夢を持っています。だから、「0になってもいいから100を狙え。1から1.2を狙うのはつまらない話だ。だったらセレゴに渡すより、それこそ債権や国債を買ったり、もっと安全なところに入れるよ」と~それこそリスクキャピタルですね。セレゴに入れた時点でもう、リスクなんですよ。で、リスクをいっぱい取ってくれたんです。
出口  僕がセレゴ・ジャパンのことを好きな理由は、本当に大きな夢を持っていること。単なる空想じゃない、ビジョンを持った夢であり、今の話だと投資家の夢も全部背負っている。ディズニーとか大きな企業に対しても、その夢を売り渡すことはしないということですね。そして、最終的に選んだ提携先はNTTでしたね。
Eric  ディズニーは非常にエキサイティングで、ワクワクするような話がいっぱいありましたが、最終的なところで意気投合とはなりませんでした。  NTTさんの場合は、先方の事業展開と我々が開発してきたラーニング・テクノロジーがかみ合い、長期的に様々な形で協業が出来ると考えています。
Smart.fmの今後の展開
出口  今後、水王舎では、Smart.fmに対応した初めての英単語集を出していこうと計画しています。また、僕個人で言えば、Smart.fmを使った論理と記憶、あるいは本とコンピュータの統合というコンセプトに基づいた、新しい勉強法を提案する本を出版しようと思っています。Smart.fm自体は今後どのような展開をしようとしているのか、教えていただけませんか。
Eric  コアであるラーニング・テクノロジーをより多くの方々に使って頂けるようなサービスづくりを目指します。5月27日に、セレゴ・ジャパンの収益化とサービス拡充を図るため、社長交代を行い新体制にしました。新社長CEOを務めるポール・グリーンバーグは、元MTV Networks Japan合同会社バイスプレジデント/北アジア デジタルメディア事業本部長を務めていた人物です。セレゴが保有する学習アルゴリズムを価値あるサービスとして消費者、そして、企業、教育機関の皆様に支持していただき、結果として収益となるような構想を立て、実行していきます。これはセレゴにとっての大きなステップと言えますね。
出口  PCでの学習ももちろん効果がありますが、記憶したいこと、しかも例文も音声も画像も付いたものを、いつでも肌身離さず持ち歩けることは、記憶の特性を考えると、僕は大きな魅力だと思います。そういった意味では、今後このサービスのメインがiPhone等のスマートフォンになっていくのではないかと思っているくらいです。
Eric   その通りだと思います。スマートフォン自体が、手で持てる、タッチするだけであったり、直感的に操作しやすい画面、多彩なアプリ――いわば手のひらにあるミニコンピュータです。限られた時間内で計算をする場合、大抵のみなさんは、紙と鉛筆とそろばんなら、おそらくそろばんを使いますよね。そろばんと電卓なら、電卓を使うでしょう。そして、電卓とエクセルであれば、難しい計算なら、エクセルスプレッドシートを選ぶでしょう。
 このように、時代は戻ったりしません。そして、スマートデバイス、スマートフォンは、これからますます進化を遂げます。それは我々にとっても挑戦の場であり、それぞれが持つプラットフォームの特性を活かした展開をしたいと考えています。
 iTunesは、プラットフォームであるし、販売のための土台でもあるし、決済もできる。一度iPhoneのコンテンツを日本で作ったら、その同じコンテンツを、次は韓国でも売ることができる。確かに手数料3割をアプリに渡さなければならないのですが、その代わり、我々が直接各国に入って銀行と話をし、ハード会社と決済云々の手間を省いて、直接iTunesというプラットフォームで売ることができる。このようなスマートテクノロジーの進展は、市場の発展を国境を越えて促しています。
出口  やはり時代の変化によって当然ハードも変わってくるだろうし、それに対応してセレゴのプラットフォームも進化するのでしょうね。今お話があったように、Smart.fmのコンテンツはそのままiPadでも、できるんですよね?
Eric  できますけれど、やっぱりiPad専用のものを作りたいですね。iPhoneの画面ってこれですよね(実際に見せながら)。iPadはこんな感じなので(手で大きさを示す)、ただ単に拡大するのではなく、iPad利用者向けに合わせたものを作れるのではないかと思うのです。特にiPadは、勉強したい方にとって、とてもパワフルな道具なので、真剣に考えたいと思います。
出口  セレゴのテクノロジーが進化するにしたがって、日本人の学習スタイルも変わっていく感じがしますね。
Eric  変えていきたいですね、はい。
出口  本で勉強からPCで勉強へ、そしてこれからは、PCでの学習から携帯やスマートフォンでの学習へ。覚えなければいけないものはいつも手元にあって、いつも持ち歩ける時代になっていくということですね。