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1分間勉強考
ふたりの出会い~『1分間勉強法』誕生秘話 『1分間勉強法』の成功を論理的に考える 第三部 『1分間勉強法』の今後
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“いろいろな偶然がふたりの出会いに結びつく
出口  次に、受験時代以降ですが、慶應義塾大学に見事合格してから本を書くまでの経緯というか、どうして本を書こうと思ったのか、あるいは出版できたのかについてはどうですか?
石井  出版までの経緯ですが、大学卒業後にテレビ局にアナウンサーとして5年間勤務していたんですけど、その時に、中学生・高校生向けのラジオ番組を2年半担当していました。
  その番組は、「多くの人を勇気づける」というコンセプトだったんですけど、「自分はあまり人を勇気づけるに値しないな。自分はただのサラリーマンのアナウンサーだし」と、ふと思ってしまって……。
  で、「どうしたら人を勇気づけるに値するか?」と考えた時に、アナウンサーを辞めて無職からスタートして、ベストセラー作家になったり、会社を経営して社長になったりとか、ビッグになったら人を勇気づけても良いんじゃないかなって思い立って、辞表を提出して、全くゼロからスタートしたんです。
出口  おそらくほとんどのサラリーマンが、本当は会社員じゃなくて、自分のやりたいことを見つけてそれをやりたい、という願望は持っていると思いますが、実際に行動するのはなかなか……。しかも石井さんの場合、テレビ局のアナウンサーっていったら憧れの職業でしょう。でも、それを辞めるっていうのは、ものすごく度胸がいると思いますよ。
石井  そうですね。よく言われるんですけれど、実は入社してすぐに辞めたいって思ったんですよ。でも、「辞めて無職になったらどうしよう」「お金が無くなったらどうしよう」っていう生活の不安があって、やっぱり5年は辞められませんでした。
出口  辞めるにあたって、物書きというか、作家になろうと最初から思って辞めたんですか?
石井  作家になろうとは思っていました。
出口  その時、小説家になりたいとか、「どうしても自分はこういうことを書きたい」と思って辞めるわけですよね?
石井  いや、あの……。
出口  なんとなく漠然と「作家になりたい」と思って辞めてしまったわけですか?
石井  はい。
出口  ああ、これはあまりないケースですね。辞めた次の日からどうしようかっていうことは、なかったですか?
石井  「原稿を書いていろいろな所に送ったら、いつか採用されるんじゃないか」とは思っていました。
出口  でも、どんな原稿にするかは、やっぱり自分の中に無いと書けないでしょう?
石井  そうですね。たまたま僕は、自分の成功経験を文章にしたいなと思いまして……ただ、成功したといっても、アナウンサーになれたことと、あとは他の会社からも内定をもらっていたことぐらいですが。それで、まずは「就職内定術」みたいな本を書きまして、1年半くらいかけて、13社目でやっと出版が決まったのが最初でしたね。
出口  よく出ましたね……。
石井  はい、よく出ました。まったく実績が無いのに就職の本なんて。
出口  いや、すごい。出版業界で無名の人が、実績も無く本を出版するというのは、よほど内容がよくないと、まずあり得ませんからね。そういえば、海外にもいろいろ行ったことがあるんですよね?
石井  はい。無職になった後に3か月間行きました。
出口  それでいろんな経験をして、充電して、戻ってきてからいろいろ本を書いて……。
石井  そうですね。やっぱり海外に一度は行っておかないと、広い視野を持てなくて書けないんじゃないか、海外のいろいろな価値観を知っておいた方が良いかなと思いまして。で、すぐに海外へ行きました。
『1分間勉強法』誕生のきっかけは受験時代
出口  そういえば、原稿は持ち込みですか?
石井  はい、持ち込み原稿です。それで当時、自分がメールマガジンを発信していて、読者が1万人か2万人はいたからでしょうね。13社目で決まって出した瞬間にamazonで1位になったんですよ。
  で、1位になったことを受けて、いろんな出版社の人に内容を見ていただいて、「これなら石井さん、もっと書けますね」と依頼が殺到して、一つひとつ出しているわけです。
出口  で、『1分間』へと繋がるわけですね……今までの話を聞いていると、成功のファーストステップはまず、メルマガで多くの読者を獲得できるようにするというわけですか?
石井   いや、そこはもう関係なかったと思います。たまたまそのお陰で、amazonで1位を取れたっていうことはあると思うんですけど、それよりも、無名の段階から諦めないで自分の原稿を本にしてくれる出版社にいっぱい当たって、やってくれる所が見つかったというのが大きいと思います。というのも、僕に出版を依頼してきた編集者の中には、amazonで1位ということを知らずに、僕の本をたまたま手に取って「この人は他のビジネス本も書けるんじゃないか」と思った人もいますから。
出口  「他のビジネス本が書けるんじゃないか」というのは面白いですね。最初から「これは絶対当たる」っていうものがあって、それをなんとか本にしたい、っていうのが普通のパターンだと思うんですが、そうじゃなくて……。
石井  僕の場合、「何か書いてくださいよ」「書きますか」ですね。
  『1分間勉強法』も、もともと特に出したい企画でもなかったんですけど、実は、面白いことがありまして。『1分間勉強法』は中経出版から出しましたが、もともと僕の編集担当だった人が、突然「温泉博士になるから会社辞めます」と言って、全国の温泉巡りをするために会社を辞めてしまって。その後に引き継いだ担当者から「挨拶代わりに1冊やりましょう」って言われて、まずそこからですね。
  で、その人から「今、勉強法ものが売れるんで、勉強法の本を書いてほしいんですよ」「受験時代は20年くらい前でしょうけど、たぶん書けると思うんで、勉強法の本を書いてくれませんか?」という依頼があって、じゃあ、昔を思い出して書いてみようかと思ってできたのが、『1分間勉強法』だったんです。
  だから、他の、例えば出口先生でしたら、大学を卒業してからもずっと、受験界で活躍されているじゃないですか。でも、僕の場合は受験勉強したことが全く生きていなくて、受験のことをやり始めたのはビジネス書でも2年前くらいで、たまたま、予備校時代の僕の受験メソッドを公開したら、それが大ベストセラーになってしまったんですよ……。
出口  いやあ、非常に珍しいパターンですね。でも、逆に言うと、将来本を書きたい人とか、あるいは、何かしらの夢を持っている人にとってみれば、励まされますね。自分の夢を捨てずに粘り強く本を書いて、いろんな出版社に持ち込んで形にしたわけですから。
石井  はい、そうですね。やはり1回実績ができると、どんどん続いていきますよ。