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1分間勉強考
ふたりの出会い~『1分間勉強法』誕生秘話 『1分間勉強法』の成功を論理的に考える 第三部 『1分間勉強法』の今後
“『1分間勉強法』は論理と記憶がうまく噛み合ってできている
出口  さきほど、先生の視点が無かったことが成功要因だと言いましたが、もうひとつ成功した要因は、表記のレトリックがありますね。例えば、『1分間』をボンと出したことや『1分間日本史』『1分間世界史』だったら、「線でなく点で覚えよ」と。これはすごくうまいと思うんですよ。あえて言い切ることで、インパクトがあってなおかつ自分の一番の主張を、ポンとわかりやすくできる。
 やはり、僕らプロの教える側からすると、「やっぱり歴史は因果関係を理解しなきゃダメ」っていう批判が来ることを考えてしまって、すごく難しいんですよ。で、これは僕が代弁すると変ですけど、「歴史は因果関係を理解しなきゃダメだ」っていうのはその通りだと思うんです。考えれば当たり前のことですが、例えば「織田信長」がどんな人物かっていうのが全くわかっていなかったら、「織田信長」だけ覚えたって意味が無いわけですし。そういう意味では、「線でまず覚える」ことが前提になっていると思うんですけど……。
石井  そうですね、はい。
出口  ところが、「線じゃなく点でやる」と言い切ったことでうまくいったのはなぜかと言ったら、「みんな、学校で最低限のことは習っていて、ある程度の因果関係は大雑把に理解していることを前提にして、次に全体を俯瞰してピンポイントを点で覚えるというのが、非常に効果的である」とあえて言わずに、「線でなく点で覚えよ」と言い切るところが石井流かなと、僕は思ったんですよ。
石井  あぁ、そうですね。9割9分の先生が「歴史は流れです」っていうじゃないですか。
出口  そうそう。
石井  でも、「流れです」に対して「じゃあ得点になるんですか?」と言ったときに、確かに東大とか論述形式の場合は流れで得点になりますけど、私立大は「知っているか知らないか」の世界なので、流れなんか一切無視で「こんなこと知らないだろう」っていう所が問題に出るので、じゃあ、知っていることを雪ダルマ式に増やしていこうというわけで……。
出口  ただ、その時の前提として、全く歴史の「れ」の字も知らない、織田信長という人間も聞いたことがない人に「点で覚えよ」ということは、さすがに無理でしょう。だから、ある程度は学校で最低限知っていることが前提にあってはじめて、点で覚えることはすごく効果的だと思うんですよ。
石井  そうですね。あと、僕が思っていたのは、世界史・日本史で「織田信長」が出てきた時に、これは人の名前なのか、事件の名前なのかとか……「『信長』って言ったら人だろう」ってわかると思うんですけど、それが例えば「ザビエル」って出てきた時に、ザビエルは人名なのか、宗教の名前なのかっていうのがわからない場合ですね。そこで色分けしてどんどん点で覚えていかないと、記憶が雪ダルマ式にならないっていうのはありましたね。
出口  そうですね。やはりその背後には、石井さんは意識していないかもしれませんが、頭の中に論理的な、非常に論理的な考えがあると思うんですよ。例えば、全体の中で何がピンポイントかとか、あるいは色分けも、むちゃくちゃに色分けしてもしょうがないので整理してというのは、その背後に論理があって、論理的なものがバックボーンにあって、頭にすっと入ってきますよね
石井  そうですね、はい。
出口  そういうふうに、論理と記憶がうまく噛み合わさっているので、ご自身の体験でも、結果的に科学的な根拠に十分基づいた良い勉強法になると。これはぜひ水王舎でどんどんやってほしいなと、僕は思ったんですよ。
石井  ありがとうございます。確かに、整理はできていると思いますね。
  ……今、思い出したことで「なぜ人名は赤なのか?」「なぜ緑色が事件なのか?」ですが、これは実際に開いてみるとわかりますが、人名が黄色とか緑だと、気持ちが悪いんですよ。たぶんこの感覚って、受験生時代からあったと思うんですけど、まさにあの4色に色分けしていくと、すっと頭に入るんです。それは何ていうか、論理的な答えじゃないんですけど、たぶん10年後、100年後には、これが正解になっているだろうなっていう感じですし、今から予測できるのは、僕の本をコピーして全部ああいうふうに色分けした「なんとか教科書」みたいなものが出されちゃうんじゃないか、っていう心配もありますね。そしたら、その教科書が絶対採用されると思いますよ。
出口  今は、ちょっと費用がかかってしまうかもしれないけれど、電子書籍が主流になってくると、すごく簡単 にできますよね。
石井  そうですね。この「4色の色分け」というのは、可能性が無限大だと思いますよ。例えば、『1分間英単語』はアプリケーションを出していますが、「見て0秒で意味がわかるもの」を赤、「見て3秒くらいで、え~っと、なんだっけと思い出すもの」を緑、「見たことはあるけど、わからないもの」を黄、「まったく見たことも聞いたこともないもの」を青、にしているんですけど、そういうふうにすると、試験の直前は赤だけをやり、それ以外の時は緑を赤に昇格させ、さらに時間があったら、黄を緑に、青を黄に、とすると、一番効率良く時間が使えるんですよ。
出口  忘却曲線に基づいた科学的な方法を、色でうまく使いやすくするというのは、コロンブスの卵じゃないけど、すごく良いアイデアですね。
石井  あとは、4色の優先順位だけを使って、受験勉強をクリアしていけると良いですね。
出口  それは、受験生にとってもすごく便利だと思いますよ。
石井  はい。……あと、これも記憶のことですが、ほとんどの人は(インクの色が)黒いボールペンを使ったり、黒のシャープペンシルを使ったりして、勉強しますよね。で、僕はこれを青のボールペンにするだけで、すごく記憶力が上がったんですよ。実際に試してみるとわかりますけど、「青色はリンク色」って呼んでいて、ヤフーでも青色の所をクリックして他と繋がりますよね。なので、人は青色で書かれたものを見ると繋げたくなる、脳の記憶に定着させたくなると思って、覚えたいことは青、覚えたくないことは黒、重要な所は赤のボールペンで書くと、一気に勉強ができるようになるんですよ。
出口  うーん、なるほど。僕は色に関して鈍感で、あまり考えたことがなかったですけど、確かに言われてみると、子供の時からずっと黒で書いているから、黒で書くものは記憶しようと思わないかもしれないですね。
石井   そうです。みんな、黒でノートをとっているから忘れるんです。それを青と赤の2色だけにすると、一気に成績は上がりますよ。
出口  これは面白い。ぜひ、みんなに試してもらいたいですね。
石井  そうですね。まずは、青のボールペンを使うだけで良いので、ぜひ試していただきたいです。