HOME > 対談・真剣勝負 > 第五回 太田宏(フォレスト出版代表取締役) & 長倉顕太(フォレスト出版取締役編集部長)

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出口  ところで長倉さんは、カリスマ編集長としてこの業界では非常に有名で、出した本は次々ベストセラーになると言われていますよね。長倉さんが手掛けた本でベストセラーになった本のタイトルを教えてください。
太田  いっぱいあるよね。
長倉  おかげさまで。……そうですね、『「心のブレーキ」の外し方 (石井裕之 2006)』とか。
出口  大ベストセラーですよね。
長倉  『なぜ、社長のベンツは4ドアなのか?(小堺桂悦郎 2006)』、『会社にお金が残らない本当の理由 (岡本吏郎 2003)』。最近で言うと『怒らない技術 (嶋津良智 2010)』ですね。
出口  すごいですね……。長倉さんが担当する出版計画は、やはり長倉さんなりに直感が働くというか、「これはいけるんじゃないか」と、感じるのですか?
長倉  著者の方に対して、ですか? 
出口  はい。
長倉  基本的にはそうですね。僕は、編集者の仕事って、実はほとんど無いと思っています。売れる著者は、特別なことをしなくても売れると思うんですよ。
 その中で、売れるタイミングに売れるコンテンツを乗せられるか、その著者が持っているその流れに乗れるか、それだけだと思っていますので。
 「編集が良いから売れるんだ」みたいなことを言ってくださる方もいらっしゃいますけど、僕は全然そんなことは無いと思っています。
出口  ということは、まず、売れる著者を探すということですか。
長倉  そうですね。売れる著者がいれば、誰が編集担当だろうと、それこそ勝手に売れると思っています。
出口  でも、実際に僕もいろいろな出版社で本を出していますけれど、売れない本も結構ありますよ。同じ著者であっても、売れるものもあれば売れないものある。そのあたりの差はどこから来るのでしょう。
長倉  いや、例えば出口先生だったら、あらゆる角度から見ても絶対売れるだろうな、と思いますので、売れなかったとしたら僕のミスだと、本当にそう思っています。
 単純に、今のマーケットがあって出口さんという方がいて、それをどうマッチングさせるのか、というだけの話なので、もしそれが外れてしまったとしたら、やはり僕のミスですから。
出口  その考え方はすごいですね。
長倉  いえ、すごくないですよ。著者のほうがすごいんです。
出口  素晴らしいですね。
太田  でも、編集の人間が100%そう思っているわけではないですから(笑)。
出口  いやいやいや……。でも、著者の立場から言うと、そう言ってくださる編集者って本当にありがたいですよね。
長倉  だけど、売れない人は絶対に売れないんですよ。仮にどんなに編集者が優秀だという風なことがあったとしても。
出口  その“売れる”“売れない”については、何か直感が働くのでしょうか。
長倉  そうですね、運が良さそうな人は出すべきだと思いますね。
出口  仮に、まだ無名の人から、長倉さんに本を出してほしいというオファーが来たとしたら、どういう所で判断するのでしょうか?
長倉  本当にやる気があるかどうかですね。 
出口  やる気があるかどうか……。
長倉  はい、本当に。
 あとは、携わっている分野で、それなりにトップクラスであることですね。出口先生も予備校講師としてトップクラスじゃないですか。やはり、やってきたことがトップクラスでないと。
 先ほどの神田先生ではないですけど、すごく面白いとか、よほど他人と違ったことがあるとか、そういうものがあれば別ですけど。
出口  なるほど、確かにそうですよね。やっぱり著者次第なのですね。
太田  でもね、確かに著者次第ですけれども、一度売れた著者のその状態をどう維持していくかっていうのが大変なんですよ。
出口  そうでしょうね。
太田  瞬間的に売れる人はたくさんいるのです。でも、長く売れるっていうのはものすごく厳しい。ちょっと売れてくると、大抵の人間はどうしても気が大きくなってしまって、いろんな所で本を出し過ぎたりしてしまう。
 どこかの会社で売れると、何かそこから湧き上がってきたようにいろいろな会社の編集者が来て、「ひとつお願いします」という頼み方をするわけです。企画なんか無いんですよ。「ひとつお願いします」って言うだけです。
 そして、頼まれた著者の方は「おう、じゃあ、企画あるから」って言ってしまうんです。確かに最初の頃は、どの著者もいくつか企画を持っていらっしゃいますから、それを出すことになるのですね。
 ところが、その企画の中には当たる企画と当たらない企画があるわけです。それなのに、全部の企画を出版してしまう。そうすると売れなくなる。
 売れなくなってくるとどうなるかっていうと、蜘蛛の子散らしたように編集者は消えていくんですね。そして、結局、どこからもお話が掛からないということになってくるのです。
出口  著者にとっては厳しい話ですね。
太田  そうですね。だから、いろんな出版社から声が掛かったときは、その編集者がどういう編集者なのか、ということを見極めないといけない。
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出口  僕は、フォレスト出版に対して2つのイメージを持っていたのです。
 先ほどお聞きした神田先生の話もそうですが、無名な方がフォレスト出版でベストセラー作家になるパターンは結構多いですよね。だから、人材を発掘するためのノウハウが、フォレストにはおそらくあるのだろうなと思っていました。
 あと、太田社長がおっしゃったように、著者をすごく大事にするというか、1人の著者を、長くいろんな形でその才能を引っ張り出して、2冊目、3冊目というふうに、うまくバックアップしていらっしゃる。1冊出しておしまい、という出版社が多いですから。
太田  ありがとうございます。そう言っていただけると大変嬉しいですね。
出口  最後になりますが、太田社長は、今後フォレスト出版をどのような企業にしたいとお考えですか?
太田   神田さんの本がベストセラーになる前から同じ考え方だったのですけれども、本を出すだけだと絶対苦しくなるのです。今年ベストセラーが出ても、来年ベストセラーが出るという保証は何もありませんから。
 ですから、本の出版と並行して、セミナーもさせていただいたり、学習教材を作らせていただいたり、という両方建てでやってきました。お金が詰まったら企画だって出てこないんですよ。「貧すれば鈍する」です。
 そのようにやってきた結果、我々がやっていることは、業態として何なのかと考えると、必ずしも出版とは言い切れないなと。本も出す、セミナーもやる、何か学習教材も出すということは、我々は情報企業だな、とある時思ったわけです。
 したがって、今後目指す方向性というご質問でしたが、「世界一の情報企業になりたい」というのが答えになります。
 出版、それからセミナー、コンサルティング、あとは学習教材、その他にもネットを使ってやれることなど、いろいろあると思うのです。そうしたことの全てができる情報企業になりたいと考えています。
 情報企業になったら、プロデュースをしたり、ビジネスに限らない情報、例えばファッションの情報の発信もあり得るかもしれないし、ジャンルで言えば英語もあると思っています。
 ただ、私が直接フォレストと関わっているのは、今後そう長くはないんですよ。いい加減、自由にいろいろなことをしたいですしね。それ以降は、長倉あたりがどうするのかは分かりませんけれども、突拍子もないことをやってほしいなと思っています。
出口  今後フォレストが何をやっていくのか楽しみですね。突拍子もないものもが出てくるかもしれませんね。
太田  そうあってほしいと思いますね。
出口  長倉さん個人としては、今後どんな本を出したいと思っていらっしゃいますか?
長倉  そうですね、仕事柄いろいろな方にお会いするのですが、まだ世の中に知られていないすごい方たちが、たくさんいらっしゃるのです。本を書いてくれない人もいっぱいいらっしゃいます。
 だから、まずはその人たちから得た情報を、本ではない形で多くの人に伝えられればなと。
出口  それは、今、社長がおっしゃった、世界一の情報企業ということにつながりますね。
長倉  そうです。本にしようと思うと、売れなければいけないということに傾いてしまって、うまくいかなくなる人もいるので。
出口  確かに、すごいものを持っている人であっても、本という形で表現するのが苦手であるとか、合わない人もいますからね。
長倉  そうですね。だから、本という形にこだわらずに、様々なツールを使って多くの人にたくさんの情報を伝えていきたいと思います。
出口  太田社長、長倉編集長ともども、これからのフォレスト出版では、新しい形でたくさんの情報を発信していくことを考えていらっしゃるということで、すごく楽しみにしています。
 今日はお忙しい中、本当にありがとうございました。