週刊東洋経済特集記事

週刊東洋経済で特集記事が掲載されました。

○文章を理解するには「筆者の意識」に沿った筋道で読むことが不可欠だ。
〈論理は3つの関係を知っていればOK〉

コールの関係
・抽象化された命題(筆者の主張)を裏付けるために、具体例などを提示する。
命題=具体例・体験・引用という関係が成り立つ。

(例)S君はスポーツ万能だ(命題)。野球部ではエースで4番、夏の水泳大会
では新記録を出した(具体例)

対立関係
・2つの文や段落を比べることで、主張を際立たせる。

 

(例)私のクラスの試験の平均点は60点だった。しかし私は80点だった。

③因果関係
・原因と結果を示す関係。プレゼンテーション能力や批判的思考につながる。

(例)昨日から頭が痛い(原因)。だから病院に行った(結果)

筆者の立てた筋道を追うことによって、伝えたいことを正確に読み取る力が読解力である。
そのために必要なのは、「他者意識」を持つことだ。文章の読み手は不特定多数の他者であり、
書き手は誰が読んでも理解できるように、自分の主張を展開する。
一見、感覚的に思われる文学作品も、論理的に構成されている。
読み手はその道筋を筆者の意識=他者意識で追わなければならないのだが、それをわか
っていない人が多い。読解力のない人は無意識に自分勝手な解釈をしてしまう。それでは
どんな本を読んでも、自分の世界が広がっていかない。そもそも日本人は他社意識を持ち
にくい。それは言語の中に表れている。会話において、例えば英語では「I don’t like~」の
ように、話し始めですぐ主語と述語、肯定文か否定文か、疑問文かを判断できる。他方、
日本語は主語が省略されたり、末尾の述語まで聞かないと何を主張したいのかがわからな
かったりする場合がある。それでも「これは肯定文?否定文?疑問文?」と考えながら話
を聞くことはない。つまり聞き手が話してとの関係などから察してくれることを前提にし
た文化といえる。相手が察してくれない場合、「察することができないほうが悪い」と感
情的になりがちだ。では、どうすれば他者意識を持って読めるのか。その答えは「論理の
ルール」に従うことだ。

1文の要点を押さえる

まずは文の構造を知ることから始めよう。1つの文は「要点」と「飾り」で構成されるという大原則がある。
要点は「主語―述語」であり、それ以外は飾りだ。
文を読んでも情報が並列に頭に入ってきて特定できない人は、まず述語から考えてみよう。
主語は述語が決定するからだ。
例えば「東京で猛烈な雨が降っている」という文の場合、述語が文末にある「降ってい
る」であるとわかれば、主語は「雨が」であると特定できる。この文が言いたいことは
「雨が降っている」だ。「東京で」は「降っている」を、「猛烈な」は「雨が」を説明する飾り
にすぎない。どのような複雑な文章でも「飾り」がたくさん付いているだけで、「要点」
は1つ、という意識を持つことで文章の読み方が変わってくる。
「主語―述語」と「飾り」の整理ができれば、1文の構造をつかまえたり、文の要点を抜
き取ったりすることが容易になる。さらに、文と文との論理的な関係をつかまえて、筆者
の主張を理解できるようになってくる。上にトレーニング用の問題を設けたので、活用し
て欲しい。
それを踏まえたうえで、本やリポート、論文などから筆者の主張を読み解くには、「論
理の3つの関係」を押さえておく必要がある。3つの関係とは、抽象的なことを具体例など
に置き換える「イコールの関係」、異なるものを比較する「対立関係」、原因と結果の「
因果関係」のことだ。
言葉の使い方や文章の組み立ては書き手一人ひとりの感覚や知識で変わる。ただ、3つ
の関係を押さえながら読んでいくと、文章と文章だけでなく、段落と段落の関係も論理的
に捉えることができるようになる。
不特定多数の読み手に情報を発信する際、書き手の主張(命題)は抽象度の高いほうが多
くの人にとっては有益なものになる。ただし主張はそれだけではあくまでも個人的な見解
や主観にすぎない。裏付けとなる具体例や体験、引用などで論証する必要がある。「主張(
命題)=具体例、体験、引用(具体)」といった法則が「イコールの関係」だ。
「S君はスポーツ万能だ」と主張しても、本当かどうかは判断できない。そこに「野球
部ではエースで4番、夏の水泳大会では新記録を出した」と具体例を挙げることで説得力
が増す。「戦争は悲惨だ」という抽象的な1文の後に「幼い頃に父親を空襲で亡くした」
と具体例が続けば、読者の心が動くだろう。
論証する材料が多ければ多いほど、読み手に対する主張の説得力は増す。ビジネスの文
章であれば裏付けとして、データとなる数字や名経営者の言葉などを並べるのも有効だ。
文章を読み進めるうえで欠かせないのは筆者の意識で文章を読む姿勢だと前述したが、筆
者がなぜそう主張するのかに思いを巡らすと理解が深まる。
「対立関係」は、自らの意見と対立するものや比較するものを提示し、主張を際立たせ
る方法だ。例えば「私のクラスの試験の平均点は60点だった。しかし私は80点だった」と
対比することによって、「私」の点数の高さがわかりやすくなる。
対比関係のテクニックとしては対比のほか、筆者が自分の正しさを証明するため、対立
する意見を持ち出してそれを否定する方法や、対立する2つの考え方が一長一短であると
き、それぞれの欠点を補い、長所を生かすやり方で統一する弁証法がある。
「因果関係」は、長い文章でも短い文章でも論を展開するうえで欠かせない要素だ。「
昨日から頭が痛い。だから病院に行った」、「業績が悪い。だから責任を取って社長が退
陣する」。この場合はいずれも、「だから」が因果関係を表すものであり、考えを整理し
て前に進める役割を果たす。
論理的なインプットを徹底的に訓練すれば、論理的なアウトプットができるようになる。
読んだ内容を他者に正確に伝えることができるかどうか試してみよう。何となくわかっ
ている状態では相手に伝えられない。
家族や友人ならそれでよいかもしれないが、初対面の人や仕事相手となれば「あうんの
呼吸」は通用しない。相手がいっさい察してくれない前提で、誰もが納得できるように説
明しなければならない。
そのためには文章を読んで、自分以外の人に対して短い時間で説明できるか試してみる
といい。誰にでもわかる言葉で考えを伝えようと意識することで、論理的な表現ができる
ようになる。ビジネスパーソンにとっては、プレゼンテーション力の向上などにも役立つ。

最適な教材は入試参考書

論理力を鍛える方法としておすすめするのは、大学入試用の学習参考書を活用すること

だ。昔の人は膨大な量の本を素読することで、論理的な思考を自然と身に付けていった。
だが現代の忙しいビジネスパーソンにとって、そうした方法は効率的ではない。
入試問題は大学が1年間かけて、論理力を試すのに最適な作品の、最も濃縮された場面
を選ぶ。参考書はその選び抜かれた問題が多く集められており、1回の長さが適切で、読
めているかどうかを設問で試せるのが利点だ。また自分で本を読むのとは異なり、内容を
選べないため、様々な分野の考え方が学べる。参考書を用いて繰り返し勉強するのが、読
解力を身に付ける最短距離といえる。
1人で参考書と向き合って学ぶ自信がない人は、インターネットを使った社会人向けの
学習講座を活用するのも手だ。筆者も大人向けの「DMMオンラインサロン『出口塾』」を
開始したので、そこで学んでほしい。
グローバル化が進む現代では、異なる価値観を持つ人との交流が増し、これまで予期し
ていなかったことの起きる可能性が高い。言語も文化も異なる他者に、感覚や感情に基づ
いた説明をしても自分の意見は届かない。また想定外の出来事に対して、主観的な物の見
方に終始していては最適解を導くことは難しい。
論理力を高めることは、読解力だけでなく、教養や思考力、語彙力を養うことにもつな
がり、これからの社会を生き抜く強力な武器になる。人生を変えたいと思うなら、文章の
読み方から変えよう。

おすすめ書籍

はじめての論理国語 小3レベル